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執筆者の写真Keishu Shimano

リスパダール【お薬Q&A】

リスパダールについて解説するワニ

「よこはま北星こころとからだのクリニック」で心療内科・精神科を担当している、院長の島野です。リスパダール(一般名:リスペリドン)について解説します。


 

1. どんな薬?


 リスパダール(一般名:リスペリドン)は抗精神病薬です。

  • 統合失調症

  • 小児期の自閉症に伴う易刺激性

 に保険適用が認められています。脳のドパミン量を調節することで、幻覚や妄想を抑える作用を持ちます。また鎮静作用があるため、易刺激性(怒りっぽい症状)にも効果が期待できます。抗精神病薬そのものは歴史が古く、大まかに第一世代と第二世代に分類されますが、リスペリドンは第二世代に分類されるお薬です。第一世代に比べ、第二世代の方が副作用が軽減され、内服を続けやすいように設計されています。リスパダール(一般名:リスペリドン)は、剤型が豊富に用意されていて、錠剤、細粒、液剤、注射製剤から選べます。後発医薬品があります。


 

2. 剤形・用法・用量は?


 リスパダール(一般名:リスペリドン)には1mg錠、2mg錠、3mg錠があります。1mg錠には割線が入っていて、半分に割ることができます。2mg錠、3mg錠には割線は入っておらず、半分に割ることはできません。錠剤だけでなく細粒タイプ、液剤タイプがあり、用量を細かく調整できます。1日の最大用量は12mgまでですが、維持量として2~6mgが推奨されています。内服は1日2回に分けて行うことが推奨されています。


 

3. この薬が処方されたら、統合失調症ということ?


 必ずしもそうとはいえません。保険適用としては統合失調症が第一にきますが、保険適用外の処方として双極性感情障害の躁状態に処方されたり、鎮静作用を期待して睡眠薬として処方されることもあります。もちろん保険適用外の処方となるので、メリット、デメリットについて主治医と話し合うことが重要です。


 

4. どのくらい効果が続く?


 個人差が大きく一概には言えませんが、1時間ほどで効き目が出て、6時間~1日程度効き目が続く、と考えておくとよいでしょう。効果の持続時間に幅があるのは、お薬の半減期が関係しています。リスパダールそのものの半減期はおよそ4時間程度です。しかし代謝された後の物質は半減期が20時間程度であり、さらに活性も同程度にあることが分かっています。効き目がどの程度続くかは個人差が大きいため、少量で投与をはじめ、飲み心地を聞きながら用量を相談します。



 

5. リスパダールは眠気が強い?


 リスパダール(一般名:リスペリドン)は眠気が強いお薬です。アドレナリン受容体やヒスタミン受容体への作用を介して眠気が出ると考えられています。このような眠気の作用を鎮静作用と呼びます。幻覚や妄想の影響で興奮が強い時には、鎮静作用を併せ持つリスペリドンやオランザピンなどの抗精神病薬を検討することがあります。


 

6. 発達障害に処方されることもある?


 保険適用での処方は認められていませんが、医師の判断で処方されることがあります。例えば発達障害の特性があり、衝動性のコントロールが必要な際に、鎮静作用を期待してリスペリドンが処方される、ということはあり得ます。


 

7. 依存性はある?


 リスパダール(一般名:リスペリドン)には依存性、常習性はありません。ただし、急に内服を中止すると悪性症候群を起こすことがあります。悪性症候群の詳しいメカニズムは不明ですが、高熱、悪寒、意識障害、筋強剛、頻脈などが急に出現することがあります。高用量を内服している方は特に、自己判断での減量や中止はせず、必ず主治医に相談するようにしましょう。


 

8. まとめ

 リスパダール(一般名;リスペリドン)は世界中で処方されており、様々な疾患に有用であることが知られている薬剤です。副作用に関するデータが豊富で安全性が高く、剤形も柔軟であることから、2024年現在も第一線で使われています。ただしお薬ですので使用に伴う危険もあります。定期的な受診をしながら安全にお薬を使っていきましょう。


 

監修:島野 桂周(精神科医・精神保健指定医)

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